みんなで作る舞台

今回の作品では、子供たちの遊びの一つとして、まりつきがあります。

初めは、まりそのものをつくことさえままならなかった子もいますが、だいぶ上手になってきました。

先日の稽古で、初めて、みんなで揃えてつく練習をしました。

「じゃあ、ちょっと自主錬していて」とトイレに行って戻ってくると、6年生のMN君が声をかけて、みんなで揃える練習をしていました。

前回の公演は、初参加で、歌もダンスもお芝居もどうして良いかわからなかったMN君です。

でも、今回は立ち位置が違います。

初めて参加する子をフォローし、子供の役者たちを引っ張っていってくれています。

すごく不器用な彼が、すごくカッコよく見えます。

成長するってすごいですね。

もしかしたら、彼は、今回引っ張る立場なので、家で、どの子よりも沢山課題をこなしているのかも知れませんね。

ボールさばきもなかなか上手くて、みんなをリードしています。

いえいえ、彼に引っ張れとは言っていないのですけれどね。

ただ、子供の役者は、10人中初参加が6人、他は2回目ということで、その中でも、彼が年長になるので、自ずとそんな自覚が生まれたのかも知れませんね。

クリエの舞台は、大人から子供まで、そして、役者もスタッフも、みんなが一つになって創り上げていきます。

お客様に喜んで戴ける作品にしていくには、クリエィティブスタッフの努力だけでは追いつかないことも沢山あります。それを埋めてくれるのは、役者たちのつながり合いです。

本番を迎える頃には、スタッフも役者も家族の様に心が一つになっていきます。

舞台作品の制作や稽古の日々が、競技と大きく違う所は、相手チームを負かすとか、誰かに勝つとかではなくて、お客様に喜んでいただける作品にしていくという所です。

No.1とOnly oneという言葉がありますが、クリエはNo.1を目指すのではなく、ここにしかないもの、ここでしか得られないものを大切にしていきたいと思っています。

それは、きっと、テクニックなどではなく、ここに集った一人一人が心でつかんでいくものなのでしょうね。

役者一人一人の笑顔。でも、その笑顔の中に、それぞれが抱えているもの、直面しているものはみな違うのですね。

クリエの演出家は、それを大切にしながら、作品を作っていく。

決して否定せず、根気よく向き合いながら。

役者たちは、それぞれの心の中にあるものを昇華させながら、それぞれが感じとったものを表現していくのですね。

だからこそ、お客様が感動してくださる作品が作りあげられるのだと思うのです。

月曜日、立ち寄った花屋さんの店の中。ここは春の花であふれていました。

ふと、どこかで聴いた歌を思い出しました。

♪No.1にならなくてもいい

もともと特別なOnly one

スマップの「世界に一つだけの花」の一節です。