つくば公演が終わり、その2週間後には、リレーフォーライフの会場で、青空の下で「ごんぎつね幻想」のナンバーを歌いました。
その日の夕方には反省会があり、つくば公演は終わったのですが・・・・・
つくば公演の出演者、ご覧頂いた方々から、「おっ母って」「何だか嬉しくなってきた」が特に好評で、今でも、色々お話が出ます。
「おっ母って」
は、物ごころ付いた時から一人ぼっちのごんが、兵十の母の葬式を見送って歌う歌です。
「おっ母さんってどんななんだろう」と切なく歌います。
私の母は82歳まで生きていましたので、母の声も温もりも、愛の深さも知っています。その、私の母は、6歳で母を亡くしました。写真もビデオも無い時代です。母の記憶は無いそうです。手ぬぐいをかぶって箒で掃除をしている姿がぼんやりと心の中に残っているだけだと言っていました。
私を産み、母となった彼女は、幼い子供を残して死んではならないと強く思っていたようです。
そんな母から聞いた淋しさや哀しさが、このナンバーのベースになっています。
ごんぎつねの作者である新美南吉は、4歳で母を亡くし、継母が嫁いで来て、異母弟が生まれ、子供を育てたことが無い祖母(母親の継母だと思います)の所に養子に出されるのですが、その淋しさや哀しさも、私の心の中で重なり、ごんが歌うナンバーとして詩が生まれました。
それに、あのメロディとサウンドが付き、あのシチュエーションでごんが歌うと、あの様になるのです。観ていない方には全くわからずごめんなさい。でも、一幕ですでに、多くのお客様の目には涙があふれていました。
「なんだか嬉しくなってきた」
これは、二幕の最初にごんが歌うナンバーです。
ごんは、「なぜ」毎日兵十の元に届け物をしていたのでしょうか?
罪滅ぼしだったのでしょうか?
オリジナル版の文章を読んで、私が感じた最も大事なだと思った「なぜ」がこの詩の中に込められています。
それを、お客様が感じ取ってくださって、アンケートやfacebookに書いてくださったりしているのを読んで、私もとても嬉しくなっています。
自分のお客様ではなくて、知らない方が書いてくださっていることも嬉しい理由の一つです。
私の周囲にいるお客様からも、「毎日CDを聴いています。詩がいい。」と言ってくださるのを聞いて、「ごんぎつね幻想」を執筆上演して本当に良かったと思っています。
そして、この「なんだか嬉しくなってきた」に金ちゃんが付けてくれた音楽が、あの、最後の場面を作るきっかけになっています。
このメロディとサウンドじゃなかったら、あの最後は無かったのです。
それは、また後日、裏話としてお聞かせしたいと思います。
どのナンバーも外せないのですが、確かにこの2曲は、ごんぎつねのオリジナル版を読んだから、そして、南吉記念館で南吉の生い立ちを深く感じ取ることが出来たからこそのものなのです。
さて、ひたちなかも稽古が始まりました。
どんな作品になり、この2曲のナンバーも、誰がどんな風に歌ってくれるのでしょうか。
こちらも、皆さまどうぞお楽しみに。
5月もあと少しになってしまいました。
ひたちなかは、田植えも終わり、日に日に緑が濃くなってきています。
庭に最近とかげのとかちゃんがよく出没しています。