つくばでは現在ワークショップをやっています。
作品を1本作って、10月4日に発表の予定です。
今回も、あの「ごんぎつね」の作家、新美南吉の作品を脚本化しました。
タイトルは「きつね」。
南吉の作品にはきつね三部作(「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」「きつね」)と言われるものがあり、そのうちの一つです。
きつね三部作の中でも、また、南吉の作品の中でも最晩年のもので、死を目の前にして書いたものです。
テーマは「母」。それは、きつね三部作に共通したものです。
南吉研究家の小野敬子さんのご提案で、この作品を取り上げました。
南吉は4歳で産みの母を亡くしています。以後、ずっと淋しい思いをしながら生きて来ました。
29歳という若さで、喉頭結核で南吉は亡くなります。死の床で彼は、社会からの孤独、家庭の中での孤独を味わいながら、「母が生きて、ここにいてくれたら、どんなにか自分を思い、愛を注ぎ、見守ってくれただろうか」と思っていたのではないでしょうか。
「きつね」は、この最晩年に最後の力を振り絞って書いた作品に違いありません。
母が生きていてくれたら・・・・・・
母はどんな思いで、自分を残して逝ってしまったのだろうか・・・・・・
それを、この「きつね」という作品から、私は感じ取ったのです。
形ばかりで誠意のない「下駄屋のおばさん」のモデルは誰だったのでしょうか?
仲良くしてくれていたのに、自分がきつねにつかれてしまったかも知れなくなった時に態度が変わってしまった義則くんや子供たちは、南吉を取り巻く人々、社会であったのでしょうか?
今回も書きながら、様々なことを考えさせられました。
発表の形態も、新たな試みを考えています。
10月4日(土)の午後、場所は、中央公園にある、さくら民家園という古民家の予定です。
詳細は、決まりましたら、HPにアップいたします。
皆さま、どうぞお楽しみに。