「天国」という詩。
これは、ごんぎつねの作者、新美南吉が書いた詩です。
お母さんは みんな一つの天国を持っています
どのお母さんも どのお母さんも 持っています
それは優しい背中です
どのお母さんの背なかでも 赤ちゃんが眠ったことがありました
背中は あちこちに 揺れました
子どもたちは お母さんの背中を 本当の天国だと思っていました
お母さんたちは みんな一つの天国を持っています
南吉のお母さんは、産後の肥立ちが悪く、南吉を産んだ後、遠くの病院に入院していて、南吉が4歳の時に亡くなったそうです。
母の背中に負ぶわれることはなかったのでしょうね。
腹違いの弟が継母に負ぶわれるのを見て、きっと、「自分もお母さんに負ぶわれたい。」と思ったでしょうね。
きっと、お母さんに負ぶわれることに、憧れていたのでしょうね。
「どうして自分にはお母さんがいないんだろう」と、どれほど思ったことでしょう。
この詩を読んでいて、とても切なくなります。
作曲家の金ちゃんが、この「天国」という詩に美しい曲を付けてくれました。
シンプルな中に深い願いというか祈りというか、そんなものを感じます。
彼は、高校1年の時に音楽と出逢い、そして、その年の終わりに作曲家になろうと思ったそうです。
彼を情熱の作曲家とか魂のピアニストとか、呼ぶメンバーがいます。
私もそう思います。
ここまで音楽を心に抱き、慈しみ、愛おしむ彼に、憧れと尊敬の気持ちを持っています。
そして、私は、この「天国」という歌が、多くの方に歌われることを願っています。
12月7日(日)のつくばクレオスクエアでの「きつね」の公演の時にも最初と最後に歌います。
写真は、「天国」を歌う、つくばのメンバーと、キーボードを弾く金ちゃんです。