おやゆび姫のお話には、ヒキガエル、魚たち、モンシロチョウ、コガネムシ、ネズミのおばあさん、モグラ、小鳥たちとツバメなど、実に個性的な生き物たちが、登場します。
アンデルセンは、動物や虫などに、人間の個性を投影させているそうです。ですから、それぞれが、まるで個性的な人間のようです。そして、それぞれが、何かどうにもならない運命のようなものを背負っているように感じます。タイトルの人物に「?」を付けたのは、人物ではなくて、虫や小動物たちだからです。
写真は、その登場人物が一同に会し、「アンデルセン」を歌うM1の稽古です。
大人が固めをしている間、子どもたちは自主的に外で練習していました。寒い!!
<その中の一つヒキガエル>
おやゆび姫が、生まれた家の外で初めて出会うのは、ヒキガエルの親子です。
母ガエルは、息子に何とかお嫁さんを、と思っているようです。
おやゆび姫が寝ている間に、ガラスの割れた所から部屋に侵入して連れ去ります。
アンデルセンは、ヒキガエルを醜いと表現しています。
自分自身のことも、醜いと思っていたようです。痩せていて手足が長すぎて醜いと。彼は14歳の時に役者になりたいと思ってコペンハーゲンに行くのですが、痩せていて手足が長く、醜かったので、役者にはなれないと言われたそうです。(他の作品の中にも醜い、美しいという言葉がしばしば使われています。みにくいあひるの子もその一つです。)
カエルも、体のわりには手足が細いから醜いのでしょうか?それとも、体の模様が醜いのでしょうか?形そのものが醜いのでしょうか?
まだ、衣裳プランが上がって来ていませんが、衣裳デザイナーの小松さんはこのヒキガエルをどう描くのでしょうね。楽しみです。
おやゆび姫は、醜いカエルの息子と結婚して、沼地のジメジメ、ドロドロした所で暮らすなんて、いやだと言います。
しかし、アンデルセンは、自分を「沼地の出身」と言うことがあったそうです。それは、貧しい家に生まれ育ったことを比喩しているのでしょうか。
ヒキガエル親子の歌、音楽も、振付も面白いです!!そして、それは、切なくもあるのです。
元気で強気のヒキガエルの母ちゃん、自分より大きくなってしまったのに、話す事も出来ない息子に、どんな想いをかけているのでしょうね。
このシーンはコミカルに描いているのですが、母ガエルは、息子のために一生懸命なのだと思うのです。さて、母親が一生懸命お嫁さんを探すこの息子は、どんな息子なのでしょうね。
ヒキガエルの親子一つを見ても、色々と興味がわきます。
この様な形で、アンデルセンの人となり、そして、この物語について、脚本を書いた上原の目線で感じたものを書いていきたいと思います。
今年は、大雪も降らず、寒い日も少ない冬でした。
月曜日、春がちょっと顔を出してくれた空です。