アンドレア・シェニエを観て参りました

28日の日曜日は、午前中はクリエの歌稽古、そして午後は、演出の順君と「アンドレア・シェニエ」を観に鎌倉へと向かいました。

このオペラを主催しているのは、私たちが発声のレッスンでお世話になっている塩塚隆則さんです。

塩塚さんは、「発声を科学する」という視点で、私たちの体にどの様に声を響かせ、聴く人の体に伝え、心を響かせていくかを、わかり易くレッスンしてくださいます。

塩塚さんのレッスンで、クリエのメンバーの声は劇的に変わったと言っても過言ではありません。

今回は、その塩塚さんが、主催、演出、合唱指導、そして主演と、とても大きな役割を4役こなしての公演です。なお且つ、「アンドレア・シェニエ」は、塩塚さんのライフワークでもあります。

加えて、オペラ作品としても難易度が非常に高く、成功例の少ないオペラで、日本でこれを全幕歌い切ったオペラ歌手は、塩塚さん以外にいないと聞いています。歌うための体力も相当に必要なはずです。

ここまで書いただけでも、「ふう~!!」っとため息が出そうですね。

私は、塩塚さんのご苦労を思いながら、座席に着きました。

オーケストラのチューニングの音が聴こえ、やがて指揮者が登場します。

拍手が鳴り止み、照明が舞台に入り、舞台も客席も程良い緊張感で覆われます。

それからの2時間余りは、呑まれた様に過ぎていきました。

ソリスト、合唱、オーケストラ、全てが、「アンドレア・シェニエ」という作品に、心を込めて、大きなエネルギーを放ち、とてもとても素敵なオペラになりました。

そして、しみじみ思ったことがあります。

「クリエの舞台と似ている!!」

一言で言うなら、「愛」があるのですね。

どんな役にも「生命」が吹き込まれていて、「端役」ではなくて、この作品を作る「大切な役」として丁寧に歌われているのです。

出演者一人一人が、この作品に、このカンパニーに、この空間に、「愛」という名のエネルギーを放っているのです。

演出家としての塩塚さんが表現したいそれぞれの「役」が明確で、出演者の皆さんが「心」の深い部分でそれを理解し、感じ、表現しようとしているのが、客席にも伝わって来ました。

それは、何とも言えない空気感を醸し出し、この場に居る人々を温かく包みこみ、至福のひとときを醸成しているのです。

きっと、裏方さんも含めて、このカンパニー全体が「愛」で包まれていたに違いありません。

「凄~~く大変だったけれど、きっといい舞台になる!!」そう信じて作品を作って来た、演出家としての塩塚さんと、我が演出家順君もとても似ています。

公演の後、遅い夕食を鎌倉で済ませ、充たされた心でひたちなかの我が家に到着した時は、日付が変わろうとしていました。

はるばる鎌倉まで行った甲斐がありました。

7月12日の日曜日は、塩塚さんの発声レッスンがあります。

毎回、私たちに、必ず「新しい発見」をさせてくれるレッスンです。

今からワクワクしています。