3.11に寄せて

あの日から5年が経ちました。

東北は、安全や安心を大切にした新しい都市の世界的なモデルになるのだろう。

原爆が投下された唯一の国での原発事故、こんな小さな国が、原子力のとてつもない力の恐ろしさを2度も身を以って体験したのですから、きっと、世界からも注目され、尊敬される価値観を持った国になるのだろう。

それを作っていくことが、犠牲になられた方への、鎮魂と、残された者の使命であると、あの時、強く思い、震災後「王家の瑞宝」という作品を作りました。

あれから、5年。

原発事故はきちんと検証されたのでしょうか?

それに基づいた施策がなされているのでしょうか?

津波や原発事故の被害に遭われた方たちの生活は元に戻ったのでしょうか?

家や親を失った子供たちの生活や心の傷に対して、行政の手は届いているのでしょうか?

これから先起こるかもしれない災害や事故への備えは十分なのでしょうか?

考えるときりがありません。

足が地についていないような、不安な気持ちでの毎日です。

私たちは、あの後、価値観が変わったでしょうか?

生き方が変わったでしょうか?

節目の日を迎えて、改めて、皆で考えてみたいと思いました。

節目の日とは、日常に流されて、目先のことにかまけでいる私たちが、大切なものを忘れないようにする日でもあると思うのです。