以前のブログで、「あれをやっている人がこれをやっている、ということが沢山ある」と、書きました。
道具たちも多才なメンバーたちによる傑作です。とも書きました。
その一つ、時計屋のシーン。
原作に出てくる描写をそのまま、役者の板倉美貴子さんにお願いしました。
「赤い目のふくろう」の時計、「人馬がゆっくりこっちへまわってきたり」する時計、「アスパラガスの葉で飾ってある」星座早見、「3本の脚のついた小さな望遠鏡」。
そして、「空じゅうの星座をふしぎなけものやへびや魚やびんの形にかいた大きな図」。
「 」内は、宮沢賢治さんの原文です。
一つ一つが、すごく精密で、本当にリアルです。
壁に掛けてある「図」は、その完成度の高さだけでなく、大きさにもびっくりです。
時計屋の場面は、現実の世界では辛いことが多いジョバンニが、しばし現実を忘れ、星の世界に思いを馳せる大切なシーンなので、道具にもこだわりたいという、演出家の希望で、板倉さんに、お願いしました。
「いたっち(板倉さんの呼び名)、お願い!!任せる!!」と。
そして、「いたっちなら、大丈夫、安心」とも言っていました。
それから1か月半くらい後でしたでしょうか、想像以上のものが出来て来ました。
板倉さんの魂込めた力作の、そのどれもに、役者たちは、「うおー!!」と、声を上げました。
プロローグで、カムパネルラの家のシーンがあります。
ここで、カムパネルラが、「お父さんがおみやげに買ってきてくれた汽車」を走らせます。
この、汽車の模型も板倉さんの作です。
北上川、小岩井牧場、天気輪(ジョバンニが登る小高い丘にある)などが作り込まれています。
白く光る天のススキ ― う~ん・・・何でどう作ろう。。。と、道具班の課題でした。それも、彼女の案です。
舞台上に並んでいたススキは、つくばひたちなか両カンパニーのメンバーやお母さま方が作ってくれたものです。
梱包用PPバンドをご存知でしょうか?あれを縦に裂いて、ビニールひもで巻いて作りました。
どこから、そのような発想が生まれるのでしょうね?
板倉さんは、カンパニーにとって、とても大切なベテランの役者さんの一人です。
いつも稽古場全体を見ていてくれていて、必要な所に声をかけてくれています。
これから育ちゆく子どもたちには、特別な思いをかけていてくれるのも、大変ありがたいことです。
そして、クリエの他にも、色んな表現活動をしています。
朗読劇、後進の指導、自分が中心になってやっているカンパニーも持っています。また、役者としても、他の劇団でも活躍しています。
そして、これらの道具たちも作ってくれています。
そんな、スーパー兼業主婦の板倉さん、広島大学教育学部で、美術を専攻。
今年の茨城県芸術祭の美術展覧会の彫刻部門で、何と!!「特賞!!」を頂きました。「自分としてはまだまだ課題があるので、ちょっと恥ずかしいです・・・」とのことですが、すごいですよね。
私たちのカンパニーに多大な貢献をしてくれていることに感謝し、これからも、益々のご活躍を祈り、応援したいと思います。
① があるということは、②もあるということですね。
別の道具たちもご紹介していきますので、お楽しみに。