あの空に向かって 

スタッフ

作・脚本:上原久栄
音楽:後藤知明
演出:大滝順二
振付:梅原美穂、西林素子
照明:成瀬一裕
音響:長岡真知子、武田朋子、齋藤裕美
美術:大滝順二
衣裳:劇団クリエ
ヘア・メーク:高久重則(エルベ)
舞台監督:川上美帆

あらすじ

舞台は、南の小さな国アルモナ。昔は人々が豊かに平和にそしてゆったりと暮らしていた。
しかし、今はこの国を支配しようとする大国ウェルダに乗っ取られようとしている。

アルモナの人々の心をウェルダ側に引き寄せる任務を課せられ、アルモナにやってきた陸軍第七師団第三部隊。メンバーの 一人であるハートは、この国の女性、ソニアに心惹かれていく。そしてハートも、他のメンバーも、この国の人々と接していくうちに 「自国がしてきたことはどういうことなのか」「目的としていることは本当に正しいのか」と、考えるようになっていく...。

制作こぼれ話

役者として舞台に立つ以上、年齢や経験は関係無い。しかしながら役者としての経験だけでなく、人としての人生経験も、 舞台の上で反映されることは否めない。勢いに乗って書いてしまった「あの空・・・・」という台本。
あの空の向こうに思いを馳せるなど、子供たちにどう教え、表現させようか?
ましてや、家を失い、親を失った子供たちなど、どう演じさせよう?

あの空の向こうに思いを馳せて

まず「空」から私たちが感じるものを体感させよう、と、演出の大滝は、合宿での稽古場から、皆を外に連れ出した。ちょうど、 いい天気だった。世界中につながっている「空」、もしかしたら、もう帰ってくることのない誰かともつながっているかも知れない「空」。 「空」を見上げながらM1(オープニング)を歌ってみた。
それぞれ「空」から何を感じたのだろうか。そして、あの空の向こうに何を思い描いたであろうか。次の日のM1は、心で歌っていること を感じるM1だった。前日の稽古場に居合わせることが出来なかったことが残念だった。

稽古場にいると、ぐっと、メンバーの気持ちが上がったり、何かに触れて、スッと変わっていく瞬間をよく目にする。そんなことの 積み重ねが「表現」になる。それを目の当たりにするのは、創る立場の冥利である。

もしも世界が100人の村だったら

この番組をご存知の方も多かろうと思う。
今、同じ時代を生きる子供たちの中には、じつに様々な立場や境遇の子供たちがいる。世界中の貧困の中で暮らす子供たちのレポートが 毎回報告されている。
このビデオを見せることで、今なお戦争の只中にいる子供たちのことを、少しでも理解できるきっかけになれば、と、稽古の空き時間に、 ビデオを見せた。
自分たちと同世代の子供が家計を支える為に働いている。しかも、僅かなお金を稼ぐために、身を粉にしながら。

自分たちが今稽古している「戦争の傷跡の中で懸命に生きる子供たち」と多いに重なったものがあるはずだ。その中で、ただ上手く演じる だけではなく、何かを感じ、自分の生き方をつかんでいって欲しいと願っている。

舞台の様子

 

 

 

「あんたも食べなよ」
兵士にもらったお菓子を、焼け出されて流れてきた見知らぬ子に優しく差し出すストリートチルドレンの”親分“

 

 

 

15~16才で兵士相手の店で働く女の子を演じる